「激怒」は健康に悪い、心臓発作リスク8.5倍=調査

 激しい怒りはどれほど健康に悪いのか。その具体的な事実が最近の医療研究で相次いで明らかになっている。
 ものすごく腹が立つ出来事のすぐ後には心臓発作のリスクが8倍以上高まることを示す新たな証拠が見つかった。怒りによって心臓発作や不整脈が生じやすいことを示す研究もある。怒りは不眠症や過食、糖尿病を引き起こしやすいインスリン抵抗性(肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが正常に働かなくなった状態のこと)につながる可能性があることも分かってきた。

 米デューク大学医療センター行動医学研究所のレッドフォード・ウィリアムズ所長は「怒りはわれわれの身体のほぼ全てにとって有害だ」と話す。同所長は「Anger Kills: Seventeen Strategies for Controlling the Hostility That Can Harm Your Health」(仮訳「怒りは致命的:健康を害しかねない敵意を抑制する17の方法」)の共同著者でもある。

 強い怒りはアドレナリンやコルチゾールといったホルモンを血流に放出する。その結果、心拍数の増加や血圧上昇、糖代謝の活発化が誘発されかねない。これは、身体的な攻撃を仕掛けるために膨大なエネルギーを必要としているときには有効だ。「穴居人の時代であれば、怒れば怒るほどますます攻撃的になり、より多くの食料が獲得できた」と、ニューヨークのモンテフィオレ・メディカルセンターの精神医学科のバイス・チェアマン、スコット・ウェツラー氏は指摘する。

 しかし、怒りが行き過ぎると害になりかねない。米国人の主な死因である心臓病のリスクをもともと抱える人々にとっては特にそうだ。米国の成人の約半分は、心臓病の三つの主なリスク要因(高血圧、高い悪玉コレステロール値、喫煙習慣)のうちの少なくとも一つを抱えている。

 デューク大学のウィリアムズ所長によると、慢性の怒りは心臓に長期的なダメージを与えかねない。アドレナリンやコルチゾールの値が高いと、血圧が上昇し、心臓の負担が増える。血圧上昇と血流増加も、動脈の内膜を損傷し、脂肪の垢(あか)がたまる原因になり得るという。

 オーストラリア・シドニーの急性心血管診療所が、心臓発作が確認された300人以上の患者に、心臓発作が起こる前の48時間に何らかの怒りの感情を経験していたかどうかについて質問した。その結果、極端な怒りを覚えた患者は2時間以内に心臓発作を起こすリスクが通常よりも8.5倍も高いことが分かった。この研究は今月、欧州心臓病学会誌で発表された。
ウォール・ストリート・ジャーナル 3月25日(水)配信

怒りには一定の法則があり、それを理解すると怒りのコントロールが可能になるといわれています。

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